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2004年2月26日
新宿区道とみどりの課 計画係御中

都営百人町4丁目団地間区道整備にあたっての提案
=区道を公園もしくは緑道に=



 都営百人町3・4丁目団地の建替え事業が進み、同地区は大きく様変わりしています。それにともない新宿区は、百人町4丁目団地内の区道(図1参照)を、17年度に整理する意向のようです。区道22−1040号線は、15年度に都市計画の変更があり区画街路1号線となります。小滝橋通りよりのもう1本22−1050号線について、道とみどりの課計画係では、早ければ3月にその概略をまとめたいとして、現在周辺住民から意見を求めているところだということでした。
 そこで住民として、地域の特性を踏まえ、以下のように提案いたします。

提案1.当該区道の利用目的を変更し、公園、もしくは歩行者専用の緑道とする。
  樹木・草花等を植栽し、ベンチを置き、団地居住者の多数を占める高齢者や周辺の子どもたちが、四季折々の自然に親しみながら、ゆったりと心豊かな時間を過ごせる場所として、またある時には、地域住民のコミュニティ広場にもなるような空間になればと考えます。

提案2.地域住民が、計画段階から積極的に参加をし、造成工事においては植栽等の可能なお手伝いもし、完成後には、管理責任の多くを担うようにする。いわば行政と住民の協働を試みる。
  参加することにより、住民の居住地域への愛着が生まれ、地域の良好なコミュニティを創ることができないか、また高齢者の生きがいや社会参加の創出になることも期待したい。そのためにも実施計画は、住民が地域の特性を考慮した意見を出し合いながら、その街ならのものを創出できればと思います。

 ※関連しての提案。プロムナードといわないまでも、住宅周辺道路の歩道を、高齢者の歩行にやさしい道に整備して、途中に木陰のできるベンチを置きます(ベンチは歩道上にではなく、できれば団地敷地のほんの一部を提供していただき窪地を造って置ければ使い易いでしょう)。区道変じた公園(緑道)を起点にして、ゆったりと休みながら散歩できる環境になればさらによいと思います。



提案理由

 21世紀に求められるまちづくりは、誰もが安心して住み続けることができる健康で快適な生活環境の保証が基本といわれ、そのために「住民が愛着をもてるまち」「自然との共生を図る」「自動車利用の削減」「魅力あるオ−プンスペース」「省エネ、省資源」などがあげられています。このことを踏まえながら、この地域の現状を考えての提案です。
 また別の角度からは、高齢者問題、環境問題の改善が21世紀における大きな課題ともいわれます。二つの問題は、団地建替えの結果この地区においてもますます顕著になったようです。

 建替えで、“百人町ジャングル”とまでいわれた溢れる緑の環境が大きく後退しました。東京都は、30年以上も前から経済的効率だけを求めた開発が自然を大幅に失くしていくことに危機感を感じ、「自然保護条例(略称)」「緑の倍増計画」「緑の東京計画」等々と自然の必要性を謳ってきましたが、にもかかわらず目に見える結果は出せなかったようです。
 土地の有効利用ということで建替えられた住宅は、高層でしかもかなり大きな建物となり威圧的で冷たい感じもし、空間に余裕のないものになっています。同時に以前の面影を残すものも少なくなりました。刻み続けた自分の記憶が一気に消されるような思いで、行き場を失った感じになっている方も多いのではないでしょうか。機密性の高い住宅構造上の問題もあって、近隣との交流が希薄になり、そのため外へ出る機会、意欲が減退するとともに人間関係も疎遠となり、孤立化を深めているようです。もっと樹木等が多ければ、建物の威圧感を和らげることができ、部屋の外に自然を身近に感じる憩える場を取り戻せるでしょう。

 特に憩える場の確保は、高齢者にとって重要課題です。建替え住宅における高齢者単身用1DK住宅は、驚くほどの多さです。現在建設中の304戸のうち150戸が、続く工事の角筈住宅移転者用160戸のうち108戸がそうです。さらに高齢者二人世帯を含めると、バランスのとれた地域社会をどうつくっていくかが大きな問題となるでしょう。その上、住宅内部は高齢者に配慮しているかもしれませんが、現状及び今後の建替え計画をみても、屋外に一歩出た高齢者に対しては配慮された施設、環境が整備されてるとは思えません。活動範囲が狭い高齢者の身近に、思わず出かけたくなるような公園や散歩コースなどがあれば、部屋に閉じこもることも少なくなるでしょう。
 たとえばアスファルトをはがし、土や芝生を主とし、季節を感じるためにも樹木や花を植栽し、ある部分は広場の機能を持ったベンチのあるオープンスペースにとできないものでしょうか。出かけてみたくなる魅力的な場があれば、集まって世間話するだろうし、夏は木陰で涼み、冬は広場で日向ぼっこもいいし、幼稚園の子どもたちの元気に遊ぶ姿を見るのも楽しいでしょうし、交流ができるかもしれません。歩いたり、休んだり、周りを眺めたりする多くの高齢者の姿が見られるようになるのではないでしょうか。

 さらにこの道の実態を見てみますと、タクシーなどのお休み所になっていて、通過車両はそれほど多くないようです。平行して90m東側にある区道が1号街路として12mに拡幅され整備されるわけですから、この道の車両通行ができなくなったとしてもそう不便を感じることはないのではないでしょうか。ましてや、両側の団地敷地とは段差があるので、団地内に入る車の利用は全くありません。
 また、変更前の都市計画の前提となったであろう当初の団地建替え基本計画で同区道は、団地敷地内に組み込まれ廃道となる予定でした。それが後の住宅建替え計画の変更があって残されるようになったものと思われます。基本計画は、専門家委員会の方々が、地域の特性を、災害時の人間の流れを考慮して提案したものです。避難路、避難場所として考えてみても車の通らないスペースを造るべきです。

 以上のような問題を改善するための貴重なスペースとして、残されている区道をぜひ活用できればと考えます。ご検討よろしくお願いいたします。



 都営百人町3丁目アパート住人 春 日 武 夫  
 
 



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