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2004年4月22日
新宿区長 中山 弘子 殿

「協働」とは? 百人町4丁目戸山団地内区道整備に関する質問



 私は今般、居住をしている都営住宅建替えという大きな変化に立ち会い、緑豊かでやさしいまちが失われていくのをみながら、新宿区という地での“有効利用という御旗”に抗弁する難しさを感じていました。しかしながら、創意工夫によってはその幾分かを残し、回復することもできるだろうし、この先長い目でみて小さくても人間に真にやさしい環境の可能性を探るべきと思います。そこで私は、平成2年の新宿区都市計画では無くなってたはずの、それがいつの間になされたか不明の都住宅局による建替え計画変更で残ることになった区道の利用方法について、昨年末以来、道とみどりの課計画係に提案をさせていただいております。
 担当者の方とは何度か電話で、また一度はお会いをしてお話をさせていただきましたが納得のいかない私は、先週、改めて整理をして文書で質問をいたしますので文書でお返事をいただけますかとお願いをしましたところ、担当者の方が区長の方へして欲しいとのことでしたので、お忙しいとは存じますが、区長さん宛の質問状にさせていただきました。ご回答をよろしくお願いいたします。

 添付した資料の『都営百人町4丁目団地間区道整備にあたっての提案』書をご覧いただければ、どんな状況で、私が何を考えているのかある程度おわかりいただけるものと思います。提案書は、初め担当者の方が、「電話で聴いたので改めて文書提出の必要はありません」といわれたのですが、その後3度ほど電話でお話をした結果あまり真摯に受け止めてもらっていない、むしろ迷惑と思ってるのかなとも感じましたので、それに検討材料とするなら文書があるのが当然ではないかとの私の思いもあって、その旨を記し担当者宛送付したものです。
 これまでの経過の中で私は、担当者の方の進め方が旧態依然とした行政の手法ではないかという大きな疑問をもっています。一言でいえば、養老孟司教授いうところの“弁解のための仕事”に終始しているということです。住民のためにといいながら、変化を嫌う事なかれ主義で、言い訳ができるようにとは配慮しながら自分の守備範囲でのみ仕事をしているように見えます。区道整備は「住民の意見を聴いて進めている」というのも、多様な意見を期待してでのことではなく、形だけの単なるアリバイづくりをしているとしか思えません。ようするに、初めに区の方針ありきで、住民といいながら各町内会長とだけ担当者一人が、しかも個別に話し、一部の手直ししながら区の方針を固めていくという進め方です。町内会長の判断でもって町内住民の総意としてしまう、誤解を恐れずにいえば、行政の安易な安全弁となっているのが実態といえます。
 新宿区基本構想は、将来像を「ともに生き、集うまち」「ともに考え、創るまち」と定め、そのために「地域との協働」を推進していこうとしてるとのことです。世の中の流れがそうなりつつあるということもありますが、それらを率先して実現しようとしている区の取組は好ましいものと受け止めています。
 しかしながら、実際の区の仕事がそのことを踏まえてやられているかというと、前述したように今回はそうは受け取れませんでした。私の提案に対する区担当者の対応に「地域との協働」をという意識をまったく感じることができなかったからです。地域住民に広く呼びかけ一堂に会して一度話し合いをもったらどうでしょうという私の提案は、担当者の「対立を生じることを避けたい」とかの理由で検討対象にしてもらえませんでした。私の感じ方は、私の個人的資質からくるものなのか、提案を真摯に検討してもらえない腹いせなのか、それとも区の基本構想と区担当者のやり方とのずれがあるのかを検討していただきたいと存じます。

 どうかよろしくお願いいたします。

質問事項
 
設問1
 まず道路整備計画の進め方です。担当者は、住民の意見を聴いてといいながら、近隣町内会長と、しかも個別に会って一人でまとめようとしています。公平にと本人は思っていても、自分に都合のいいように案件を伝え、都合のいい部分を聴いてしまうことは多々あるでしょう。現に、団地会長には警察庁がうるさいのでといったそうですが、私にはそれが特段の理由ではないと話していました。住民の意見を聴くというのなら、一度でもいいから地域の住民に広く声をかけオープンで集まってもらう、意見交換の場を設定していただけないかとお願いをしましたが、できないというお答えでした。また私の提案に対しては、いろいろな意見の方がいますから個々の意見を聴くことは難しいと、暗に拒否していました。それならなおのこと、いろいろな意見をもってる方に集まってもらい考えや立場をお互い聴き合うことによって、問題を深めながら良い方法を探ることが大切となるのではないでしょうか。それでこそ、協働であり、地域の特性を配慮した進め方になるはずと考えます。しかし担当者は、それでは対立が生じるのでそれを避けたいといい、地域住人に広く声をかけることをするつもりはないようです。
 「区民と行政のパートナーシップによるまち」づくりに重点を置こうという新宿区の基本構想から、およそ離れてると思うのですがいかがでしょう。


設問2
 協働とは何か、できるだけ多くの住民が関わることによってその案件が、地域住民が地域に愛着をもてるような結果を生むのでなければそれほどの意味はないので、きれい事で終わってしまうでしょう。既成の公園を管理してみませんかと呼びかけられたとしても、なかなか人は動かないようです。しかしその場所の計画時点から少しでも関わったとしたら、後々まで気になり自然とそこに足が向くようになるのではないでしょうか。計画時点から住民が関わりその後の管理もある程度担っているという他区での幾つかの試みが本に紹介されてもいます。提案書でも触れたように、住民の生きがいや社会参加の創出も期待できるかもしれません。地域コミュニティの点からみても好転を期待できるのは、改めて私がいわなくても「新宿区・地域との協働推進計画」に盛り込まれています。
 区道を考えることは、協働に似つかわしくないというのでしょうか。担当者からは、このような私の疑問に対して、まったくといっていいほど返事をいただいていません。

設問3
 新宿区は、環境基本計画を策定し「ともに環境を改善する」「緑豊かで、安全快適なまちをつくる」等の基本目標を立てました。開発一辺倒で失われた自然や人間関係などに関し、直接関わる地域住民とともに改めて目を向けようとしている大きな流れがあると思います。新宿区はそのための土地利用などで大きな制約があるでしょう、それだけに可能なところがあったらじっくりと検討しようとしなければ、緑豊かなまちというスローガンをあげても、実現はいつのことになるか分かりません。屋上緑化も大切です、街路樹の活用も大切です。それだけでなく、今後の車社会のあり方をも視野に入れながら、弱者(高齢者や子ども等)にとってやさしい、安心できるまちを考えることは、とても大切だと思います。
 そこで、計画係だけで進めるのでなく、この地域には高齢者の方が大変多いという特性もありますし、例えば福祉係の意見を求めたりできなのかとも話しましたが、これにも返事をいただいてません。

設問4
 提案内容に具体的に入ります。歩行者専用にという私の提案に対し、少数といえども車利用者がいる限りそれができないという計画係の返事です。実状をみますと、平成15年度の都市計画の変更により90m先に1号街路が整備されるのだし、現実にタクシーが休んでることが多いだけの当該区道がなくて困るような人がどれだけ本当にいるのかという疑問もあります。いろいろな条件を示さないまま、車利用者にどちらがいいかと問えば、それは車が通れた方がいいと答えるでしょう。しかし基を正せばこの区道は、平成2年の都市計画で建替え住宅敷地に組み込まれなくなるはずであったのが、住宅建替え基本計画がいつの間にか変更になって残ることになったものです。広域避難場所としての機能をもつように考えられた平成2年の都市計画決定に際し、車利用者のことをどう考えてたのでしょうか。車利用者の強い反対があったのでしょうか。担当者は、「以前は以前で今と状況が違う」というような私にはまったく理解できないことをいい、ただ車利用者がいるのでの一点張りで歩行者専用とすることはできないというお話でした。
 私が理解しようとしないからなのか、第三者であればそのような説明で納得できるものなのか、それならしかたがありませんが、それが譲れないほどの決定的理由となるのか、できれば地域住民を交えたところで、納得できる説明をお願いできればと思います。

設問5
 さらに提案書でも触れていますが、地域の特性を考慮して欲しいということです。以前の建替え基本計画では、多世代の混住が望ましいといっていたにも関わらず新しい住宅での1ルームの多さは気になります。高齢者のそれも単身者が大変多いことを如実に示しています。では、高齢者のためにどのような配慮がされてるか、部屋はバリアフリーとなっていても、部屋から一歩外に出たときの、特にメンタル面でのものは皆無のようです。将来1700余の戸数を数える団地のコミュニティをどうするかも私には見えません。福祉の視点から、住みやすい新宿区という観点からも考えての判断ができるようであればなおよいのですが。このような問題を毎回提起しても、担当者に答えていただいてないというのが私の実感です。 
 
設問6
 担当者は、歩道を広くとり街路樹も植栽するからいいではといいます。私は、本当に安心してゆったりと豊かな時間を過ごすには、車が通る所では無理だと考えます。たかだか植樹帯を含めた4mの歩道ができたとしても、やはり通過をするためのものでしかないでしょう。無理をしてベンチを置いても利用されることがほとんどないでしょう。良好な人間関係が生まれることも期待できません。人と人とが関われるようなコミュニティ広場を、四季の移ろいを感じられる道くさ自由の曲線を描く緑道は、歩行者専用にしなければできません。このようなことも、求められる公共性ではないでしょうか。車の方にほんの少しがまんしていただくことを、検討してしかるべきことと思いますが、いかがでしょうか。
 西戸山幼稚園の園長先生も、そうなったら子どもたちにとってもとてもいいですねとお話ししてました。
 戸山団地会でも幹事会での問いかけで、そうなったらいいねというのが大半だったようです。 しかしながら、百人町3丁目町会は役員会において、車道をギリギリに抑えても車が通る道をと決めたようです。そして、区の担当者は、だから車を止めることはできないのだ、3丁目町会の言い分を私に聴けといいたいようです。
 今一度、いろんな視点から検討していただければと望むものです。
 
 
 



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