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☆会報「大けやき」Vol.9  (2001/10/27発行)



11月19日判決へ 最終弁論でも都は新証拠示せず

 「大けやき伐採損害賠償請求」裁判は、東京地方裁判所における口頭弁論を終了しました。9月17日、裁判長は、原告・被告に対し簡単に終了の確認をし、11月19日13時15分に判決をと述べました。後は勝訴の判決を期待して待つだけです。
 今回の最終弁論では、被告・参加人(都知事)からの準備書面の提出はなく、原告だけの提出となりました。被告には、自然や樹木の保護などに関しなんら主体的な考えがなく、語るべき言葉がもうないということでしょう。これまでも原告の主張に対し、その度に、事実関係を検証しないで言葉尻だけをとらえて言い繕ってきただけだったようです。
 今回提出の原告準備書面(5)は、だめを押す意味で、これまでと重複する部分も多々ありますが、あえて基本的な問題部分をまとめてみました。まず私たちが、なぜ大けやきの保存を訴えたのか、初期にはほとんど論理というか、そのバックボーンを持ち合わせない感傷的なものでした。伐採された後、無鉄砲にも東京都という巨大な固まりに弁護士に依頼しない本人訴訟で挑んだのも、これも意地だけでした。それ以来、公判を維持するために考え、整理してきたことを振り返ってみると、初心は間違っていなかったし、素人でも怖れず、とにかく声を挙げていくことによって、動かないと思っていたものも動くという実感をもてました。
 今環境の時代といわれています。地球が陥っている状況を、私たちには手の届かない問題だとするのではなく、身近な生活の中からできることを見つけていこうという姿勢を大事にしなければなりません。急激な都市開発で緑を失ったことを反省してできた『東京における自然の保護と回復に関する条例』、21世紀において風格ある都市を目指して緑のたいせつさを謳った『緑の東京計画』、新宿区にも『みどりのアクション=新宿区みどりの基本計画』があります。しかし、これらの理念を実現しようとしない行政がありました。表向きと違い裏では、ご自分たちのご都合を最優先させ、理念など邪魔者扱いにしているか無視しようとしているとさえ思えます。『緑化計画書』という手続きさえも、緑化に配慮しましたというお墨付きを出すことによって、既存樹木伐採の隠れみのになっているようです。
 樹木の判断においても、結局は、科学的な裏付けを出さないまま、ウロがある、腐朽しているというだけでした。これまた、樹木に関し素人だからと高を括っていたのではないか、原告の理を詰めた見解に対しては、なんら反論がありませんでした。
 さらに被告は、都営住宅入居希望者が多く、土地の有効利用を図るために伐採はやむをえなかったといいます。昨今都は、希望者に広く応えるような住宅施策をとっていないばかりか、有効利用のために伐採は不可欠だったかというと、そんなこともありません。うるおいのある住民の生活に想像力が及ばないし、大けやきの存在も無視した設計を唯一無二のものとして言い張ってるだけです。工夫もなければ、柔軟に対応する姿勢も力もないということでしょう。
 なによりも行政は、住民に説明のできないことをやってはいけないということを基本におかなければなりません。多くの声を聞く耳を持ってほしいものです。(春日武夫 大けやきの会代表)


大ケヤキ 裁判勝訴を夢で見て  喜田 豊

 大ケヤキよ
   君が倒されたという電話を植田さんから受けた妻は 俺を起こさなかった
   君は翌朝 チェンソーでズタズタに輪切りにされた
 大ケヤキよ
   君の悔しさは 少しはこの勝訴で癒されたか
 大ケヤキよ
   ボクは悔しいのだ
   二百年 あそこ そう新宿百人町の地で
   しっかり根をはって 生きてきたというのに
 大ケヤキよ
   君は 関東大震災も知っている
   君は 東京大空襲も知っている
 大ケヤキよ
   前の都営住宅建設工事の関係当事者は
   そんな君が これからもずっとそこで
   生きて頑張ってほしいと 土塁(つちどめ)までつくったというのに
 大ケヤキよ
   君に抱きついて悲しみを癒してもらったあの娘は
   母親となった今
   二百年の樹齢(いのち)を断たれた君のことを
   どう語ったらいいのか迷う
   お役人がいうには 住宅を沢山建てるためには 木が邪魔だったらしいよと
 大ケヤキよ
   許してくれ いや 許してくれんでいい
   君を殺した力 君を殺した理屈を叩いた
   今度の判決を胸に刻むから そして もう一歩前へ進める気がするから


新宿御苑で樹木ウオッチング

 昨年戸山団地内で行って以来の第2回目ウオッチングを10月14日新宿御苑で開催した。新宿区報のお知らせを読んで参加した会員以外11名と会員5名の16人が新宿門に集まった。案内をお願いした井上先生は、熱心に耳を傾けメモを取る皆さんを見てつい力が入りとお話してましたが、午前10時から園内の樹木を主に2時間、午後は温室を1時間の予定が1時間近くをもオーバーした。それでも参加者は長いとは感じなかったようだ。
 ウナギの蒲焼きがガマの穂からそういわれるようになった等の由来話から、ヒマラヤスギは杉でなく松の仲間で大きな松ぼっくりがあるのを見たり、10月に咲いているサクラに驚いたり、樹木が環境に順応し、種を絶やさないようにといろいろな特色をもっているお話と、楽しく充実した1日であった。ほとんどの人が何度か御苑に来たけれど、お話を聞くまで気がつかった、知らなかったことが多かったと話していた。御苑は敷地が広く、樹種も、巨木も多く、駆け足となってしまったこともあり、またの機会を期待して散会する。


【巨樹のある風景】 第九回
空襲にあった大けやき(北新宿三丁目)

 坂道の途中、集合住宅パイロットハウス前に大クスと2本の大けやきが並ぶ。真ん中の幹回り2.55mある大けやきの幹の上の方にえぐられたような跡がある。『語り継ぐ焼けイチョウ』(唐沢孝一著)に、昭和20年5月25日の大空襲で辺り一面焼け野原となったが、近くの鎧神社のイチョウ等と共に焼夷弾を受けながら焼け残ったという説明がある。


東京いきもの図鑑 第8回
ダンゴムシ  横関拓也

 ケムシ、クモときた人気のない虫ネタ、また続けますよ!今回はダンゴムシ。アルマジロみたいな硬い殻に包まれている節足動物で、湿った場所にいるということで前回のジグモと近いですね。
 ダンゴムシはけっこう有名だから知っている人も多いでしょう。バグズライフ(ディズニーのCGアニメ映画)にも登場していました。外敵に出会うとその名の通りダンゴ状の球形になって身を守ります。子どものころはこれが楽しくてダンゴムシを見つけては丸めて遊んでいました。 大きなのはパチンコ玉ぐらいになります。丸まることによって逆に子どもの注目をあびてダンゴムシは思惑ハズレですね。
 このダンゴムシに似たムシでワラジムシがいます。見た目はダンゴムシに近いのですが、体が固いのかダンゴになれません。こんな芸のないムシは人気のない中でも更に人気がありません。




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