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新宿区百人町4丁目の大けやき伐採をめぐる問題



文責: 春日武夫

4.大けやきを残す運動の経緯 その2

            《2001年1月6日〜25日》

◎1月6日(土) 午前10時。昨年12月21日の話し合いの席で東京都東部住宅建設事務所田中建設課長が約束した、移植を前提に専門家(樹木医)に診断してもらうため 関係者と住民が大けやきの木の周りに集まったのは既報のとおり。

◎1月10日(水) 戸山団地幹事会にて、団地住人で今年幹事である春日が、“大けやきを残してとなぜ望むか”の文書を配布説明する。(配布文書は次項5、ア))
  しかし、その議論することなく団地会としての意見は役員の一存で“住宅建設の工期を遅らせてほしくないので、伐採もかまわない”ということになる。
  大ケヤキの問題を少しでもたくさんの人に知ってもらおうとホームページを作成。

◎1月11日(木) 大ケヤキの問題を多方面から検討してみようと勉強会をもつことにする。周知する時間がないが、大ケヤキの余命を決する時間も後わずかということで、 第1回目の勉強会を明後日の13日とし、団地および周辺の住宅にと600枚のチラシを配布する。

◎1月13日(土) 18:00〜20:00 戸山団地内百人町3丁目住宅2号棟集会室にて『都市の自然と緑と、居住空間を考える』の題で第1回勉強会を開催。参加者=主催者3、団地住民4、新宿区新聞社記者1、そして、8年前ケヤキ移植の運動をした体験を話してくださるためわざわざきてくださった国分寺市の2人の計10人。
  資料として、<話し合いのためのレジュメ><大ケヤキのこれまでの経緯>の他、<板橋の大規模マンションサンシティ中庭の森の紹介><調布仙川駅前の桜の木の移植の顛末>の両新聞記事を用意。
  国分寺市のお二人の体験談は、核になった4人がしっかりとスクラムを組んで粘り強く市に要望を繰り返しながら各方面に働き掛け、ついには1万3千人以上の署名を集め市を動かしたまさに草の根運動である。この貴重な体験談を中心に両新聞記事とから、木が人間生活・生理にどれほど関わっているか、木の緑のある生活とないのとと話を拡げたかったが、住民は当面の大ケヤキ問題だけの興味で参加してきたようで、しかも伐るべきだという人の声との間で平行線をたどり、それ以上の話に進展しなかったのは残念である。

◎1月15日(月) 新宿区新聞に『巨木《樹齢200年》残せ!』との見出しで載る。運動の経緯を紹介し、解説には、“巨木は次の世代への遺産であり、周辺住民の共有物であるという考え方が必要だ。今回の問題は伐採しないですむ建築計画をなぜつくらなかったのか?につきよう”とあった。

◎1月16日(火) 10:00〜13:00 住宅建替え用地内現場建築事務所内で、1月6日の診断の結果に基づいた都の判断とそれに対しての住民との話し合いがもたれる。住民の参加者16人中7人が団地会役員であり、工期の遅れ、日照、落葉の処理などを懸念して敷地内移植は絶対認められないとの意見であった。それらの懸念に関して都側はなんら具体的な説明をせず、むしろあおるような発言に終始した。
  都側の見解は、樹木医の当日のお話から(診断書の提出は間に合わないということでなし)、移植をしても3年程度は生きているかもしれないがそれ以上はかなり難しいということと、移植費用の見積りは1、460万となり財政難の折都民の納得できるようなものでない、また住民の多くも残すことより早めの移転を望んでいるので。
  話し合いは約3時間にも及んだが、かみあわないままどちらかといえば感情的な話に終始した。11月15日の近隣住民に対しての説明会で「残す」としたした責任もあいまいなままとなる。
  結論は、住民の反対も多いので敷地内移植はなし、他に適当な移植場所を探し都民の納得できる金額で可能であるなら移植を考えるということになる。

◎1月17日(水) 朝日新聞朝刊東京版に、大ケヤキをめぐる動きが写真2枚入りで大きく『生き残れるか大ケヤキ』という見出しで紹介される。小見出しには『移植先なければ伐採住民意見対立 共存か着工か今週結論』とある。
  植田が大山都議、佐藤区議の協力を得ながら探す。移植先として東京都や新宿区の公園など可能性ないかなどを相談してみるもむずかしい。

◎1月19日(金)都東部住宅建設田中課長に6項目の質問を出し、文書で回答をしてほしいと申し入れをする。
  現在更地になっている団地22号棟跡地に移植し、それを中心に以後の跡地計画を立てることの検討をお願いしても、田中課長に運搬の技術的問題や予算を理由に一蹴される。移植先を見つけることはほぼ絶望的になる。

◎1月20日(土) 朝日新聞朝刊に『敷地内移植を希望適地見つからず』と続報。

◎1月22日(月) 田中課長より“6項目質問書”への回答のファックスある。(質問事項と回答書は次項5、イ)に)
  また、23日に事業者によるお祓いがあり25日に伐採するという連絡もある。

◎1月23日(火) 大ケヤキ前にて神主によるお祓いがあり、住民十数名同席。田中課長より、樹木医有田氏の“ケヤキ巨樹存続についての検討”という文書が参加者に配られる。(内容は次項5、ウ))

◎1月24日(水) 朝日新聞朝刊に『樹齢200年の大ケヤキあす姿消す』との記事。
◎1月25日(木) いよいよ伐採の日となるが、思わぬ展開を見せる。これ以後のことは至急追ってお知らせすることにします。



5.前項4内資料

ア)戸山団地会に提出した文書

            “大ケヤキを残して”となぜ望むか  
                            春日
【これまでの流れ】 今百人町4丁目住宅建替現場にどうどうと立っている大ケヤキが伐られるとわかったのは、暮れの12月16日植田さんという方が工事関係者の人に聞いたからです。その時すでに、4〜5日後には伐られる予定という、まさに風前の灯でした。それまで近隣の住民の多くの人たちは、あのケヤキは残されるだろうと信じていたはずです。その1月前の11月15日に行なわれた都の近隣住民説明会でも、その会の出席者によれば「大ケヤキは残します」と明言されています。にもかかわらず、多くの人が気にしていたあの木が、当初の説明に反して突然伐られるというのです。
 植田さんは、あの大ケヤキを眺めることによって付近の住民が慰められ、癒されてきたのになくなるのは心の支えをを外されるようなものと、すぐにケヤキを残すよう訴えるチラシを作って近所に配りはじめました。その時たまたま声をかけられた私たちも、伐られることも、それを進める都側の態度も納得できるようなことではないと思えたのでいっしょに考えてみることにしました。
 急いで都議・区議の方を通して都に伐採の中止を申し入れ、改めて都と話合いを持ったのが、21日でした。その場で、都の田中建設課長が、専門家に診断を仰いだうえで移植をする方向で考えることを約束し、1月6日の樹木医の診断となったのです。

【なぜ伐るべきではないか、問題は2つ】 整理すると考慮すべき問題は、大きく2つあるようです。大ケヤキは都市部での大切な緑であり、ケヤキを区の木とする新宿区の文化財であり、百人町のシンボルといえるものであることが1つ。2つめは、東京都の住宅行政は、住む箱を造ればそれでよしとするのではなく、住民の意見にも耳を傾け、住むための優しい環境にも気を配るべき時代が到来しているのに、その姿勢が都にはないのかと問いかけたい。大ケヤキは、今後必要となるであろう住民が集い憩えるような場所の核になるような存在となるはずです。近年道徳教育の必要性が問われていますが、郷土への愛情や地域への貢献を育むためにも、住民共有の日本に誇れる老樹の存在はかっこうの材料・シンボルとなるでしょう。

【問題1:大ケヤキは大切な緑で、貴重な文化財です】 近年、東京都も新宿区も条令を制定してまで緑の保護と育成をといってます。同時に文化財の保存も全国的に見直しがはかられています。この大ケヤキは新宿区内で3番目に大きなもので、うち2本は新宿御苑内で、市街地にあるものとしては1番のようです。丸くふくよかに張った枝振りは、遠目にも優しく、四季折々の色や姿で、多くの人々にやすらぎを与えてくれます。ケヤキでは珍しい板根が地表にしっかりと張って全体を支えている姿は、力強さのなかに美しさがあります。
 また、樹齢200年以上と推定され、江戸時代から、明治、大正、昭和、平成と長い間地域を見つめてきた大ケヤキは、この地の歴史に思いをいたす際の貴重な文化財といえるのではないでしょうか。利便性や効率だけで、何もかも捨て去り一新するのは、働き盛りの人たちにとって問題にならないかもしれませんが、一線を退いたご高齢の方々やこれからを担う子どもたちにとって精神的な拠り所をも失うことになりかねません。
 バブル期に、我も我もと開発を進めた官・民とも、近ごろやっと、人間の心にとって大事なものをないがしろにしてきたと気付き、緑地化をいい、文化財を大事にしようと見直そうとしています。これを大ケヤキにも当てはめ考えてみたらどうでしょうか。

【問題2:住む環境も大事です】 私は旧12号館から2号館に移りましたが、部屋も広く設備も雲泥の差で、たいへんありがたく思っています。住まいとしては満足しながら、取り巻く環境を考えると、これでいいのかという疑念がないわけではありません。住民どうしの触れ合う機会が少なくなってきてはいないかと感じるからです。新しい住宅3・4号館の中庭は、コンクリで固められ広いスペースが全く利用されていないようだし、2号館の中庭に木は植えられていますが、ゆっくりと休むためのベンチもありません。旧住宅はエレベーターもない4階建で緑も多く、同じ階段の人たちが顔をあわせることが多かったのに、新住宅では極端に少なく、孤独化が進みはしないか、とくに高齢の方が心配になります。外でのんびり日を浴びながら集い話し、まどろむ空間がないのは淋しいことです。物質面での豊かさにあふれた今、改めて心の問題が問われるようになりました。ということは、住民が閉じこもるのではなく積極的に外に出て、コミュニケーションを取り、誰もができる範囲内でいいから共同体に参加できるような環境をつくりだす方向に向かうべきだということです。これま,,での経過をみれば、都には大ケヤキを残そうという姿勢は見えないし、説明会も遅すぎ、正確さにも欠けるようで、安い家賃で住まわせてやるのだから説明などなくとよいと考えてる、のかなとかんぐれなくもないのです。
 建築家の黒川紀章氏が『21世紀の住宅』について以下のように発言していました。考慮すべき提言ではないでしょうか。
「僕は“関係の時代”と呼んでいるのですが、人間との関係、環境との関係が大事になってきます。たとえ狭くても、近隣の人間関係がとてもよかったり、文化・サービス施設が整っていたり、自然が身近にあったりといった家の方が望まれるのです。ですから、わが国の住宅政策も、建物そのものよりも、その回りの環境を整える方向に早くシフトすべきです」(朝日新聞 01年1月7日朝刊)

【もう一度、大ケヤキを残せないか皆さんで考えてみませんか】 樹木医の有賀氏は、移植してもかならず根付くかは保障はないが木の価値を考えられる最善の努力はすべきだし、協力はしますといっています。日照も動かす位置を考えればまったく問題ないし、工期にしても3年近くかかる工事でそう影響が出ると思えません。要は都民が、住民が今後長く生活していくために何が大事かを考えてみましょう。
 団地内に古い木を移植した森を作り、維持管理を引き受けた住民が、新しいイベントなどを考え出して楽しくやっているというような話を聞きました。大ケヤキを中心に生き生きと生活できる場をみんなでつくることを考えてみませんか。



イ) 6項目の質問事項と、田中住宅建設課長の回答書

東部住宅建設事務所、田中建設課長殿
2001年1月19日
植田麻実

2001年1月16日の住民説明会における、今週中に移植先が見つからなければ大ケヤキを伐採するとの決定に関して、以下の6点に関して、文書による回答を求めます。

1)2001年1月16日、大ケヤキが移植かどうか、樹木医によって診断が行なわれましたが、我々は、正式な診断書をまだ見ておりません。樹木医が、診断為に、どういった診断をし、その結果、大ケヤキの健康状態をどのように判断したのか、きちんと、診断書を残しておきたいと考えております。本来ならば、1月16日の住民説明会は、その診断書に基づいて判断がなされるはずでした。が、間に合わないという理由でご提出いただいていません。大ケヤキの診断書の提出を求めます。
2)我々に対して予告にないまま、大ケヤキの伐採の執行を行なわないように、お願いします。執行日時は、遅くとも前々日までに、必ずファックスにて植田(電話番号省略)、春日(電話番号省略)までお知らせください。
3)昨年11月15日の住民説明会において、大ケヤキの伐採はないと都の説明があったことは、複数の出席者が証言し、昨年12月21日の住民説明会でも、質問をした本人が、都は大ケヤキを伐らないと言った、と証言しました。この点に関して、都も責任を感じて、移植先の選定に協力をお願いいたします。
4)我々は、1月16日の「ケヤキは伐るが、反対派が今週中に移植先を見つけ、移植費も都民が納得するような金額であれば移植する」といった、田中さんの結論をうけ、移植先として、百人町の都営住宅22号棟あとを見つけました。22号棟跡に大ケヤキを移植し、それを中心にして、以降の全体の再建計画を建てて頂きたいと考えています。移植先として、22号棟跡が不可能である場合、今一度、その理由を文章にして、ご説明願います。その場合、あわせて、住宅計画と整合性を持った敷地内移植について、再 度、検討願えないでしょうか。
5)22号棟跡地を含め、百人町4丁目の都営住宅敷地内には、桜の木をはじめ、樹齢数 十年の木々が植えられています。今後、都のこの地域の再建計画において、現存するこれらの木々を残していく意志があるのかどうか、ご回答願います。
6)1月16日の議事録の提出をお願いいたします。

以上よろしくお願いいたします。



                以下その回答書
                               平成13年1月22日植田麻実 殿
                       東京都東部住宅建設事務所
                          建設課長  田中 悌二

             百人町四丁目のケヤキについて

 懸案のケヤキの取扱いについては、1月19日現在、条件にあった移植先が見つからないことから伐採することといたしました。
 平成13年1月l6日、住民の方々とのケヤキについての話し合いにおいて、
   〇 都営住宅百人町4丁目エ事敷地内の移埴はない。
   〇 今週の金曜日(1月19日)までに移植受け入れ先が見つからなければケヤキを伐採する。
   〇 移植の条件として、伐採に反対される方々が移植受け入れ先と移植できる業者を見つけ、移植費用も都民の納得の得られる費用であること。
が結論として出されました。
 東京都としては、樹木医の診断を受けるようにとの住民の皆さんの要請を受けて、平成13年1月6日、住民の皆さんと植田様依頼の樹木医立合いで、都依頼の樹木医による診断を行いました。その際に説明された樹木医の診断と皆さんの質問への回答が診断書に相当するものと判断しました。
 その内容は、移植してもその後の生育が保障できない確立が非常に高く、移植費用も多額であり、さらにこのケヤキを場外に移動することは樹体重量から困難である、というものでした。このことから、現状の都財政を考え大きなリスクを伴う移植はできないと判断し伐採することとしました。
 22号棟跡地への移植は上記理由によりできません。
 樹木医の診断結果(報告書)は都に提出され次第、写しをお渡しすることといたします。ケヤキの木の伐採は,1月23日に御祓いをし、翌24日以降に行います。なお、伐採したケヤキの木の取扱いについては、その木を利用して当団地内に何らかの形で残すことといたします。
 今後の計画部分の主要な樹木については、都営住宅建替事業計画上差し支えのない限り従来どおり極力残してまいります。
 1月16日の話し合い内容につきましては、既に話し合いの場で今後の方針が出されておりましたので、特に議事録としてはまとめておりません。植田様として記録を残していただければ幸いです。



ウ)樹木医有田氏の“ケヤキ巨樹存続についての検討”


新宿・百人町

ケヤキ巨樹存続についての検討 
 平成13年1月
 戦後まもなく都民の住宅として建築きれた建物の老朽化に伴い<新たに住宅を建て直すことになった。旧住宅建設時に昔から地域を見つめてきた大ケヤキを存続させるため、造成で切り下げた根茎の周リを大谷石を積み上げ保全してきた。
 今般、立て替え住宅の配棟計画から、当該ケヤキが建物に掛かることになり、移植等で計画地内に存続が可能であるかを調査検討をした。

1.日 時  平成13年1月6日9:OO〜11:3O

2.場 所  東京都新宿区百人町4丁目 都営住宅建設予定地

3.調査人  有田和實

4.調査樹名 ケヤキ(Zelkova serrata Makino)

5.考 察
 1)現 況
    旧住宅解体後の整地造成された土地の一角に独立して立っている。
    H=17.0m、C=2.7m 主幹は落雷によリ折損、頂部よリ根元まで空洞化して
   おり、南東側と南西側に大きな腐朽開口空洞があリ、特に南西側は主幹中央部まで
   開口空洞化している。枝は四方に張リ出し樹勢旺盛を誇示している。然し、 この時期に落葉せず、一部着葉している様は若干水揚げ状況が悪いのではないか。
    根茎部は、根元から3.6mの外周に大谷石3段積み(約1.2m)が施されている。
   昭和23年頃に新築された都営住宅建設に伴う処置とのことである。石積み外部を整
   地造成している状況から判断すれば、根元から1.5mのところには根系を認められず根元近くから外周に広がらず、地下深く根を張リ、其処から外周部ヘ広がっていると想像される。これらの深い位置に水養分の吸収と、樹体維持のための支持根が在ると思われる。根元の植生は,野鳥が運んだと思われる、ネミモチ、シュロ、マンリョウ、ミズキ等の実生が繁茂している。また、東側根元には大きなジバチの巣があった。
    樹勢としては、良好と判断する。樹体に空洞化が見られるが、腐朽は止まって いるのでこれ以上の腐朽進行はないと見る。枝葉の延び方も正常と考えられる。

 2)移植について
  a.物理的検討
   この大きな樹体を移植するには数年の根回しが必要であリ、且つ、移植機械では樹体重量から困難と思われる。在来工法で移動するには、タテビキ工法があ る。大規模な土木工事と大きな費用を必要とするが不可能ではない。   移植先での風倒木防止処置が可能か、また、もし移植後枯死した場合伐採搬出が可能かを慎重に検討する必要がある。
 b.生理的検討
  移植に必要な条件を満足していれば移植は可能である。然からば必要条件とは。
   1. 根回しが十分であること。生育に必要な根系を確保されていること。
   2. 発根発芽を考慮して、適期移植が可能なこと。
   3. 移植先で十分な管理ができること。
   4. 移植後の地下水やビル風等による生理的阻害要因除去が可能であること。
   5. 樹木特性の樹形を保つことができること。
  以上の条件を当該ケヤキで満足するには、下記の条件が必要である。
   1. 根回しのための事前調査を行い、根鉢の大きさや工法を検討する。
   2. 適期移植の為の全体工程を計画すること。
   3. 樹木管理計画を立て,自主管理の可否を検討する。
   4. 地下水調査や配棟計画から、地下水の遮断の有無や、ビル風のシュミレーションを行い、水・風ストレスの起こらないことを確認すること。
   5. 根回しに伴なウ、枝葉剪定による樹形変化が観賞に堪えられるか。を検討する。

 3)結 論
   「移植について」を慎重に検討した結果、物理的には、万難を排し可能とすることができるが、生理的には、非常に困難である。移植後数年は体力的に生存が可能であるが、その後の生存が殆ど望めないことが非常に高い確率と思われる。
   存続を希望するは、多くの人たちの要望である。然し、現在の位置で移動 することなく生存させることにも、建物基礎工事や、風障害を除去しなくてはならず、非常に困難である。生存が不可能で在れば、別の形でケヤキの思い出を後世に引き継ぎ、歴史の「語リ部」として存続していくことも一方法である。

6.添付資料
      位置図
      現況写真
      ケヤキ根系図



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