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新宿区百人町4丁目の大けやき伐採をめぐる問題



文責: 春日武夫

8 . 伐られた後 経緯 その4《2月5日〜20日》

◎2月5日(月)
 春日個人で、東京都住宅局長および東部住宅建設事務所長宛てに同文の質問状をファックスする。(資料参照
 夜、関係者集まる。今回関わって見えてきたこと、樹木、自然への思いなどを自由に語る。巨木に名前を付ける運動などはどうかと林氏からの提案もあった。
 今後どうするかを相談。都を継続して糾弾していくとともに、樹木、自然保護を提言し条例などの改正をも視野に入れて活動していこうと。とりあえず住民監査請求を出すことにし、都の約束不履行という信義則違反で損害賠償等の裁判をも考え、改めて都住宅局長宛てに、内容証明郵便で、二つの会名で公開質問状を出すことにする。質問内容はファックスした春日の質問事項を基本とし、伐採強行責任者は誰かの質問を加えて、形式を整えたものである。
 新宿区新聞に『闇に紛れ巨木を伐採 移植を検討中なのに 反対住民は涙の抗議』の記事。

◎2月6日(火)
 植田、石岡、春日名で、都住宅局長に内容証明郵便で質問状を発送。 都委嘱の樹木医有田氏に公開質問状(資料参照)を、発信者春日で日本樹木医会を経由して送る。都は、有田氏の報告書を移植不可能の唯一に証明にしているが、都の見解との違いがないかということ、また堀氏の報告書は「移植は難しいが可能であるし、移植すベき貴重な樹」としていることを有田氏はどう考えるかを質問したものである。

◎2月7日(水)
 読売新聞都内版に『住民が監査請求へ 知事に公費返還求める』と。

◎2月8日(木)
 午後4時、東京都に『都営住宅戸山団地の建替工事における大けやき伐採に係わる東京都知事および本件財務会計責任者に対する措置請求』を提出(資料参照)。請求者は植田麻実他56名である。
 引き続き、都庁記者クラブで記者会見。
  <緑の東京計画>で“巨樹は世代を越えた存在を意識させます”と語り、<東京にお ける自然の保護と回復に関する条例>では、“知事の義務として、公共住宅の建設など を行なうにあたっては、自然の保護と回復に十分配慮しなければならない”としている のに違反している。新宿区の<みどりの条例>では、幹回り1,2m以上のものは保存 樹木とするとあるが、都有地ということでそれが及ばないということはおかしい。
  戸山団地は、住民の努力もあって、都区内では珍しいくらいの緑が豊かであるのにと写真を示して説明、それがまったく配慮されていない設計であったことを訴える。

◎2月9日(金)
 読売新聞は新宿区の対応に焦点をあて『新宿区 伐採予定事業者確認へ 敷地250平方m以上の建物 <大ケヤキ問題>を受け』とある。新宿区は1月中旬以降に、都に対して敷地内移植をとの申し入れているようだが、遅きに失しているしかなり及び腰になっている。都は残してくれるものと思っていたとか、伐採の通告があっても何もしないで肩を落としていたとか、本気でやる気を感じさせない。
 朝日新聞は『ケヤキ伐採 都条例違反 住民が公費返還請求』と。東京新聞にも記事。
 
◎2月15日(木)
 東部住宅建設事務所渡部所長より、先に送った質問状への回答書を受け取る(資料参照)。
 こちらの質問には何も答えていないも同然なのに唖然。堀氏および樹木医をどう認識し、約束前の伐採強行についての確認事項には一言もない。これまでの経緯の都合のよいところをとってこじつけてみせ、都合の悪い部分には触れないまま。これですまされてたまるかと、憤りが。
 最後の部分の、「伐採後の木の断面を見ると予想以上に腐朽が進み、幹が折れる危険 もあった」というのは、蛇足などというようなものでなく、それなら予想以上にしっかりしていて移植に十分堪えられたとしたら、都は樹を蘇生させ移植してくれるのかと、たいへん不快であった。大ケヤキはもう戻らないのだ。
 緑の保護に努めてるといっても、大ケヤキに何ら配慮をしないで引いた図面にたまたまかからない木は、あわてて残しますとしただけではないか。

◎2月16日(金)
 ケヤキの切断面と根の写真を撮らせてほしいと、住宅建設事務所に電話するも、許可してもらえず。東大総合研究博物館に、樹の一部を引き取って研究材料にしてほしいと、植田がお願いしてその引渡しが済んでいるのに、建設事務所がそれも取り返したということである。とにかく騒ぎが収まるまで、だれの目にも触れさせないことにしたようだ。
  都京都住宅局のホームページに樹の写真があるということなので覗いてみる。今回の大ケヤキについて項目を設けて説明しているが、昨日受け取った回答書とほぼ同じ内容の言い訳である。
  樹の断面写真もあり、ごていねいに樹木医有田氏が伐採後の2月5日に見たという大ケヤキの報告書<続>が載っている。これで伐採したことを正当化しようとしているのだろうか。
  伐採した樹はモニュメントとして、ベンチなどにしますと完成予想図もある。有田氏も「<語り部>として後世に伝えていくことが望まれるとしている」が、たちまあち風化して忘れさられないだろうか。雄々しく立っている樹と比べるべくもない。

2月19日(月)
 関係者集まる。都の回答書を見て、これ以上は訴訟を考えるしかないとし、次回に具体的な検討をすることに。
  今後、進めていく上で、組織をどうするかも次回まで案を持ち寄ることに。賛同者にひろく声をかけ、同じような問題を考えている人たちとのネットワークもできたらと。 
 植田さんが、保存樹木に対する各区の対応を電話で調べた結果、杉並区が積極的に公有地の樹木も指定しているほか、練馬区、板橋区、足立区にも公有地内に保存樹木が一部あるということだ。北区は、区内にある都営桐ケ丘団地建替えで、1,5m以上の樹は保存することで都と話をしているということである。他の区はほとんど新宿区と同様で、何区かは緑地計画書が出たら現地確認はするという程度である。
  新宿区の場合は、建設事業者から緑化計画書が出ても、緑化基準を満たしているかどうか書面のみで審査し現地を見ることはないといっていたのだから、何がみどりの条例だ、保存樹木だといいたくなる。みどり公園課があの大ケヤキを認識してなかったということが信じられない。要はやる気があるかどうかということにつきるようだ。



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